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コーヒーで運動機能が維持!?コーヒー成分「トリゴネリン」が老化に伴う筋肉萎縮を防ぐ可能性

コーヒーはこれまでにいろいろな健康効果を示すことが示されています。
このブログでも片頭痛やメタボリック症候群に対する関連性について紹介しました。
頭痛持ちには嫌な梅雨時期。コーヒーで片頭痛発作が軽減するかも。
コーヒーでメタボ改善!?コーヒーがメタボリック症候群の発症と重症化を予防する可能性
コーヒーって面白いですね。
いろんな健康食品やサプリメントがありますが、研究結果でコーヒーを超えるような結果を出しているものはないんじゃないかな。
コーヒー中毒の私には、いい言い訳になるのでありがたいです。
前にも書きましたが、個人的には
コーヒーが究極の健康食品だ!
と思っています。
今回は加齢に伴って起こってくる筋肉萎縮が、コーヒー成分の「トリゴネリン」によって防げる可能性を示したまとめを紹介します。
内容が難しいので、面倒な人は「私の視点」だけでも見てくださいね。
原文はこちら。
研究結果のまとめ
🧬 研究の背景と目的
- ミトコンドリア機能不全とNAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の低下は、骨格筋の老化やサルコペニア(加齢性筋肉減少)の特徴である
- これらの変化が「局所的なもの」か「全身性・食事由来」かは未解明
🧪 トリゴネリンに関する研究成果
- **トリゴネリン(ニコチン酸に構造が類似する天然アルカロイド)**が、NAD⁺と筋肉の健康に関与することを複数の生物種で確認
- ヒトのデータでは:
- 血清中のトリゴネリン濃度はサルコペニアの進行に伴って低下
- 濃度が高いほど筋力やミトコンドリアの酸化的リン酸化能力と正の相関あり
🔬 メカニズムと作用経路
- トリゴネリンはGPR109Aを介して作用しない
- 代謝はニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ/Preiss–Handler経路を通じて行われる
- C. elegans(線虫)モデルでは:
- ミトコンドリアの呼吸と生合成が改善
- 筋肉の老化進行を抑制
- サーチュイン依存のNAD⁺メカニズムにより寿命と可動性が向上
🧫 実験的証明
- 同位体標識トリゴネリンを使い:
- トリゴネリンがNAD⁺プールに取り込まれることを確認
- 線虫、マウス、健常者、サルコペニア患者の筋管でNAD⁺レベルが上昇
🐁 マウス実験の結果
- 食餌にトリゴネリンを添加すると:
- 筋力の向上
- 加齢に伴う疲労の予防が見られる
📌 総合的な結論
- トリゴネリンの栄養補給は、NAD⁺を増強し、加齢に伴う筋肉量・筋力の低下を防ぐ潜在的治療法になり得る
私の視点
最近の長寿研究では、「ミトコンドリア」という細胞小器官(細胞の内臓みたいなもの)の働きが重要と考えられています。
その中でもNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を高めておくことがキーポイントのようです。
そこで有名になったサプリメントがNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)という、NADの前駆体です。
それを補うことでNADを増やす、というものです。
今回のコーヒー成分である「トリゴネリン」は、どうやら同じような作用があるのではないかという研究結果なんですね。
今回の研究では筋肉にフォーカスしていますが、トリゴネリンには他の健康効果もあるのではないかと思います。
コーヒー中毒の私には、ぜひ、そうあってほしい(笑)
トリゴネリンではありませんが、コーヒーと筋肉の関係については、これまでにも研究報告があります。
韓国での研究では、コーヒーをよく飲む人ほどサルコペニア(加齢性筋肉減少)の有病率が低いことが示されています。
1日3杯以上コーヒーを飲む人は、1日1杯未満の人に比べてサルコペニアの有病率が約60%低いという結果が出ています。
日本人の中高年においても、骨格筋量の指標である骨格筋量指数(SMI)は、コーヒー摂取量と正の相関がある(コーヒーを飲む量が多い人ほど筋肉量が多い)ことが報告されています。
コーヒーに関するいろいろな研究結果を見ていると、だいたいコーヒー3杯以上で健康効果があることが多い気がします。
コーヒーは嗜好品ですので、嫌いな人は飲む必要はありませんが、もしコーヒーがお好きなら1日3杯以上飲むことを習慣にするといいのではないでしょうか。