メタボ・糖尿病診療ブログ
夏バテに素麺(そうめん)は理にかなっている?!
夏バテとは「身体がだるい」「食欲が無い」など、夏に起こるいろいろな症状が起こっている状態を指します。
夏バテが起こる原因は様々です。
- 温度差により自律神経が乱れ、「胃腸の不調」「睡眠障害」などの体調不良が起きている
- 発汗により水分とミネラル(ナトリウム・カリウム・カルシウムなど)が排出され、アンバランスになっている
- 食べ物の摂取量が少ない、偏りにより必要十分な栄養摂取ができていない
などが考えられています。
夏バテになるとついつい食べてしまうものの一つがそうめんではないかと思います。
果たして、そうめんは夏バテ解消に理にかなった食べ物か考えてみましょう。
夏バテに必要な栄養素
三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)に関しては、夏だからと言って特に何か代えなくてはいけないということはないと思います。
ミネラルに関しては、発汗で塩分が喪失してしまいますので、塩分の補充が必要になります。
ただ、室温が管理された部屋で過ごしている方は、特に塩分を追加する必要はないと考えています。
いつもと同じくらい排尿がある程度に水分摂取を行えばいいと思います。
屋外作業などで汗をだくだくかくような方は、水分と共に塩分も補充するようにした方がいいでしょう。
ビタミンに関しては、少なくともビタミンB1を補充したいです。
気温が上昇するとビタミンB1の消費量は2~3倍になるとされており、ビタミンB1が不足しやすい状態になります。
となると、ビタミンB1不足がおこっていないか注意する必要がありますね。
ビタミンB1が不足した時に起こる症状
ビタミンB1の働きは主に2つです。
- 糖質に含まれるブドウ糖をエネルギーに変換する
- 脳の中枢神経・手足の末梢機能を正常に保つ
ビタミンB1が不足すると次のような症状が起こるとされています。
- イライラする
- 集中力の低下
- 食欲不振
- 疲労感やだるさ
ビタミンB1不足が起こす症状は夏バテ症状と似ていることがわかると思います。
ですので、夏バテ解消にはビタミンB1を積極的に摂取するのが大事だということです。
そうめんにビタミンB1は多いのか?
結論から言えば「ノー」です。
そうめんの原料は小麦です。
ビタミンB1が全く含まれていないわけではありませんが、特に多いわけでもありません。
夏バテになると、そうめんだけ食べているという方も少なくないと思います。
が、残念ながらビタミンB1の消費量が亢進した状態を改善するには遠く及びません。
もっと言えば、そうめんだけになっている状態はビタミンB1が不足してしまったためとも言えるかもしれません。
ビタミンB1はミトコンドリアという細胞内小器官で糖質からエネルギーを爆発的に発生させるために必要な栄養素です。
酸素を利用して起こる反応なので、好気的解糖と呼ばれます。
ビタミンB1が不足すると、ミトコンドリアでのエネルギー産生効率が圧倒的に悪くなります。
それが疲労感やだるさなどの原因となるのです。
それでもエネルギーを発生させなければいけないので、嫌気的解糖という酸素(ミトコンドリア)を使わずにエネルギーを発生させるシステムを使わざるを得なくなります。
嫌気的解糖はエネルギー産生効率が悪いので、糖質を多量に摂ってエネルギー産生をまかなうことになります。
「そうめんを食べているのではない、そうめんを食べさせられている」とも言えるのです。
夏バテ解消に食べたいもの
正確に書くと、夏バテをする前に食べたいという感じです。
夏バテまでいってしまうと、いろいろな栄養素が不足しているかもしれません。
しかし、不足してしまった栄養素を補うためにいろんなものを食べることは難しいでしょう。
ビタミンB1が多い食べ物を一つだけあげるとすれば、豚肉です。
同じ肉類でも、牛肉や鶏肉よりも圧倒的にビタミンB1が多いのです。
また三大栄養素である脂質もタンパク質も摂れます。
冷しゃぶなど、冷たいレシピもありますから、うまく取り入れて夏バテしないようにしたいものです。
また香辛料などを使って、食欲をアップさせるのもいいですね。
夏にはそうめんより豚肉だと思います!!!
そうめんに頼るようになっている状態はすでに危険な状態と言えるかもしれませんよ。