コラムメタボ・糖尿病健康づくり栄養
ポテトを“揚げ”ると糖尿病リスクを爆“上げ”!でも、ポテトよりリスクが高いのは、あの食べ物だった・・
あなたもよくご存知の糖尿病。
血糖値が高い状態が続き、尿に糖分が漏れ出すようになった状態を糖尿病と呼んでいます。
血糖値が高い状態は生体にとって不利益となるため、通常は厳密にコントロールされています。
もう少し解説を加えていくと、血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を指します。
つまり、血液中のブドウ糖が上昇するような食べ物は血糖値を上昇します。
血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。
血糖値に応じたインスリン分泌が行えている場合は血糖値が正常に保たれますが、インスリン分泌が追いつけなくなると血糖値は高い状態が続いてしまいます。
つまり、血糖値が上がったから直ぐに糖尿病を発症されるのではなく、インスリン分泌が相対的に低下して糖尿病が発症します。
もし糖尿病と診断されたのであれば、ある程度の期間、血糖値が高い状態が続いていたことになりますので、病態はそれなりに進行しているということです。
さて、血液中のブドウ糖が増えると糖尿病リスクが大きくなるのですが、ブドウ糖が多く含まれている食べ物と言えば何でしょうか?
健康に気をつけているあなたなら即答でしょうね。
知っての通り、穀物類や根菜類ですね。
これらの食べ物にはデンプンが含まれます。
デンプンはブドウ糖の塊ですので、ブドウ糖が多い食べ物になります。
ですので、穀物類や根菜類を食べ過ぎると血糖値が高い状態が続き、やがて糖尿病の状態になっていきます。
さて、今回紹介する研究は根菜類であるポテトがテーマです。
同じポテトでも調理法によって糖尿病に対するリスクが違うという話です。
そして、それを代替するにはどうしたらいいかというところまで掘り下げてあります。
とても役に立つ話ですので、ぜひ、最後まで読んでくださいね。
原文はこちら。
研究結果のまとめ
🥔 論文タイトル
「総じゃがいも摂取量および特定のじゃがいも摂取量と2型糖尿病のリスク:米国3つのコホート研究の結果と、前向きコホート研究の代替メタ解析」
📋 論文要旨
目的
- 総じゃがいも摂取および個別のじゃがいも摂取と2型糖尿病のリスクとの関連を調査する。
- じゃがいもを全粒穀物や他の主要な炭水化物源に置き換えることの2型糖尿病リスクへの影響を推定する。
- 前向きコホート研究の用量反応メタ解析と代替メタ解析を実施する。
研究デザイン
- 前向きコホート研究
- 前向きコホート研究の用量反応メタ解析
設定と参加者
- 設定: Nurses’ Health Study (1984-2020)、Nurses’ Health Study II (1991-2021)、Health Professionals Follow-up Study (1986-2018) の個別参加者データ
- 参加者: ベースライン時に糖尿病、心血管疾患、がんのない205,107人の男女
主要評価項目
- 新規発症の2型糖尿病
結果
- 追跡期間: 5,175,501人年
- 2型糖尿病診断数: 22,299人
- 調整後: 最新のBMIとその他の糖尿病関連リスク因子で調整後、総じゃがいもとフライドポテトの摂取量が多いほど2型糖尿病リスクの増加と関連した。
- 総じゃがいも: 毎週3食増加するごとに、2型糖尿病の発生率が5%増加 (ハザード比 1.05)。
- フライドポテト: 毎週3食増加するごとに、2型糖尿病の発生率が20%増加 (ハザード比 1.20)。
- 焼く・茹でる・マッシュしたじゃがいもを合わせた摂取量と2型糖尿病リスクの関連はなかった (ハザード比 1.01)。
- 代替解析(個別コホート):
- じゃがいも(毎週3食)を全粒穀物に置き換えると、2型糖尿病発生率は低下すると推定された。
- 総じゃがいもとの置き換えで 8% 低下。
- 焼く・茹でる・マッシュしたじゃがいもとの置き換えで 4% 低下。
- フライドポテトとの置き換えで 19% 低下。
- 総じゃがいも、または焼く・茹でる・マッシュしたじゃがいもを白米に置き換えることは、2型糖尿病リスクの増加と関連していた。
- じゃがいも(毎週3食)を全粒穀物に置き換えると、2型糖尿病発生率は低下すると推定された。
- メタ解析(13コホート):
- 参加者 587,081人、2型糖尿病診断 43,471件
- 総じゃがいも(毎週3食増加ごと)で2型糖尿病リスクのハザード比は 1.03
- フライドポテト(毎週3食増加ごと)で2型糖尿病リスクのハザード比は 1.16
- 代替メタ解析: じゃがいも(毎週3食)を全粒穀物に置き換えると2型糖尿病リスクは低下すると推定された。
- 総じゃがいもとの置き換えで 7% 低下。
- 焼く・茹でる・マッシュしたじゃがいもとの置き換えで 5% 低下。
- 揚げたじゃがいもとの置き換えで 17% 低下。
結論
- フライドポテトの摂取量が多いことは、2型糖尿病のリスクが高いことと関連していたが、焼く・茹でる・マッシュしたじゃがいもを合わせた摂取量では2型糖尿病との関連は見られなかった。
- じゃがいも摂取に関連する2型糖尿病リスクは、置き換えられる食品に依存するようであった。じゃがいもを全粒穀物に置き換えることはリスクの低下と関連し、白米に置き換えることはリスクの増加と関連していた。
私の視点
糖尿病の発症にはブドウ糖(デンプン)が関与しているのは間違いないのですが、調理法でも糖尿病の発症が変わるのは興味深いですよね。
これには最近、老化や生活習慣病の発症に関与しているとされる”終末糖化産物(AGE)”というものが関与していると思われます。
最終糖化産物は内臓脂肪を悪玉化させ血糖値を上昇させますが、これはタンパク質とブドウ糖が結合(糖化といいます)してできる物質です。
このタンパク質とブドウ糖が結合する反応を別名でメイラード反応といい、褐色物質のメラノイジンが生成される化学反応を指します。
何か難しい話のように聞こえるかもしれませんが、実はとても身近なものなのです。
ホットケーキやパン、ローストチキン、プリンのカラメルなどのの焼き色がありますよね。
食品が香ばしい風味と茶色い焼き色を帯びる、美味しそうな褐色のあれです。
それが、メイラード反応でできたメラノイジンなんです。
メイラード反応は高温の環境で行われますから、当然、高温で調理する揚げ物にはメラノイジン、言い換えると最終糖化産物AGEが多く生成されるのです。
フライドポテトは名前の通り揚げ物で最終糖化産物AGEが多いため、ポテト料理を比較した時に糖尿病の発症が高くなっていると考えられますね。
最終糖化産物=AGE=アゲ=揚げ
偶然にもつながっています・・糖尿病リスクを下げるために揚げ物は控えていきましょう。
ではポテトの代わりにどんな炭水化物を食べたらいいのか、という示唆がありましたね。
答えは全粒穀物に置き換えることでした。
全粒穀物とは、外皮、胚芽、胚乳の全てを含む、未精製の穀物のことです。
ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、生活習慣病の予防に役立つとされています。
具体例としては、玄米、全粒粉、オーツ麦、ライ麦、大麦(もち麦)、雑穀などがあります。
全粒穀物の特徴は、
- 高栄養価: 胚芽や外皮にビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなどを含有
- 健康効果: 生活習慣病(糖尿病、心臓病、脳卒中、がんなど)のリスクを低減する効果
- 満腹感と血糖値の安定: 食物繊維が豊富で腹持ちが良く、血糖値の急激な上昇を抑える効果
などがあります。
全粒穀物を上手に取り入れたいところですね。
一方で、精製された白米は糖尿病リスクが高くなります。
精製された食品は栄養価が下がり病気の発症が増えると言われますが、今回の研究でも同様ですね。
メタボ外来で指導している内容の一つに「3つの白い悪魔は減らしましょう」というのがあります。
- 砂糖
- 小麦粉
- 白米
これらは肥満や糖尿病などのリスクが高くなる食品ですので、本当に注意が必要ですよ。
私はご飯が大好きですが、最近はもち麦を混ぜて食べています。
白米だけよりもモチモチして、意外と好きかもしれません。
主食として毎日のように食べている炭水化物とどう向き合うか、それがあなたの健康の重要な鍵となるでしょう。
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