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プロテインはアスリート達だけのものじゃない!ホエイプロテインは心臓に関わる代謝を改善する。
プロテインと聞くと、あなたは何を想像するでしょうか?
マッチョやアスリート達の飲み物と考えるのではないかと思います。
確かにそれは間違いではありませんが、そもそも、たんぱく質は健康な人にも、と~~~っても大事な栄養素なんです。
さらに、どちらかと言えば不足しがちな栄養素でもあります。
たんぱく質が不足すると「酵素」が不足します。
「酵素」不足で起こる体調不良に関しては、以前のブログ記事に書いています。
今回はホエイプロテインを摂取することで、心臓に関わる代謝を改善するというシステマティック・レビュー(レベルが高い研究)を紹介します。
原文はこちら。
研究結果のまとめ
ホエイプロテイン摂取と心代謝プロファイルに関するメタアナリシス
背景
- 心代謝疾患の有病率が増加しているため、その健康影響を軽減するための実践的な介入策が緊急に求められている。
- ホエイプロテインの摂取は、心代謝健康マーカーを改善する可能性のある介入策として注目されている。
- 本研究の目的は、ホエイプロテイン摂取が成人における心代謝プロファイルに及ぼす影響を調査することである。
方法
- PubMed、Web of Science、Scopus、Cochrane Library(それぞれ研究論文を取りまとめているサイト)において、2024年6月までの期間で系統的な文献検索を行った。
- 対象としたのは、ホエイプロテイン摂取群とプラセボ群または炭水化物摂取群を比較したランダム化比較試験(RCT、研究レベルが高い)である。
- 心代謝健康マーカーとして、血圧、高密度リポタンパク質(HDLコレステロール、いわゆる善玉コレステロール)、低密度リポタンパク質(LDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロール)、総コレステロール、トリグリセリド(中性脂肪)、インスリン抵抗性指標(HOMA-IR、インスリンの効きにくさの指標)を評価した。
- ランダム効果逆分散モデルを用いて、各群間の平均差(MD)を推定した。
結果
- 21件のRCTを本メタアナリシスに含めた。
- ホエイプロテイン摂取は、HDLコレステロール濃度に影響を与えなかった。
- 50歳未満の個体において、LDLコレステロールの低下が認められた(P < 0.01)。また、運動と併用した場合にもLDLコレステロールの低下が認められた(MD: −5.38、95%信頼区間(95% CI): −8.87〜−1.88、I2 = 0%、P < 0.01)。
- ホエイプロテイン摂取と運動を併用した場合、総コレステロールの低下が認められた(MD: −8.58、95% CI: −14.32〜−2.83、I2 = 55%、P < 0.01)。年齢、タンパク質摂取量、肥満度(BMI ≥ 25 kg/m2)に関係なく、総コレステロールの低下が認められた(MD: −6.71、95% CI: −11.60〜−1.83、I2 = 74%、P < 0.01)。
- 12週間以上のホエイプロテイン摂取は、トリグリセリド値の低下と関連していた(MD: −6.61、95% CI: −11.06〜−2.17、I2 = 70%、P < 0.01)。
- 血圧およびHOMA-IRに対しては、臨床的に有意な影響は認められなかった。
- ただし、HDLコレステロール、総コレステロール、トリグリセリドの低下に関する変化は、主に健康な成人で観察された。
結論
- ホエイプロテイン摂取は、特に50歳未満の健康な過体重・肥満の成人において、LDLコレステロールおよび総コレステロール値を低下させる効果的な介入策となり得る可能性がある。
- 運動と併用した場合に最も大きな効果が観察された。
- また、健康な成人においてトリグリセリド値の低下が認められた。
私の視点
ホエイプロテインで脂質プロファイルの変化がどうなるか、研究しているのは知りませんでした。
たんぱく質ですから、どうしてもたんぱく質とか筋肉に与える影響を見てしまいますよね。
ホエイプロテインを摂ると悪玉コレステロール値が低下するというのは、興味深い結果です。
どういう機序で起こってくるのか、ぜひ、知りたいですね。
また体重、あるいは筋肉量や体脂肪量がどのように変化したかも知りたいところです。
私自身もプロテインを摂取しています。
ただホエイプロテインよりもソイプロテインが多いです。
ソイプロテインは植物性なので、脂質プロファイルに関してはホエイプロテイン以上の効果が出るのではないか、と期待しています。