メタボ・糖尿病肝臓(脂肪肝)診療ブログ
その糖尿病治療薬は癌のリスクを高めているかも?!糖尿病と糖尿病治療薬と癌の複雑な関係
以前のブログ記事で、糖尿病の一番の死因が悪性新生物(≒癌)であり、
それに注意が必要であることを啓蒙しました。
今回はさらに深いお話です。
糖尿病は癌のリスクを高める病気ですが、
それを治そうといたずらに治療すると、返って癌のリスクが高まるかもしれないというお話です。
糖尿病治療薬の種類
まず前提として知って頂きたいのは、
糖尿病(血糖)をコントロールするのに最も重要なホルモンがインスリンだということです。
インスリンが血糖値を下げることで、血糖値が一定になるようにコントロールされています。
糖尿病治療薬は、かなりざっくり言ってしまうと、「インスリンをどうするか」ということになります。
糖尿病治療薬をとっても大まかに分類すると
- インスリン分泌促進薬あるいはインスリンそのもの(インスリンを増やす薬)
- インスリン抵抗性改善薬(インスリンの効きをよくする薬)
- 両方の作用を持つ薬
の3種類に分類されると思って下さい。
インスリンが持つ作用
インスリンは血糖を下げる作用だけでなく、様々な生理作用があり生体には不可欠なホルモンです。
例えば筋肉や脂肪を増やすのにインスリンというホルモンが大きく関わっています。
なので、筋肉を増やしたい人は筋トレした時に甘いものを食べて、
血糖値を上げインスリン分泌を促進し、筋肉を増やそうとしているのです。
必要不可欠なホルモンですし、適量なら問題はありません。
ですが、過剰になってくると生体に悪影響を与えます。
一般的に、糖尿病患者ではインスリン分泌が過剰になっています(末期になるとインスリン分泌は低下)。
糖尿病患者が癌になりやすいのは、インスリンが持つ
- 癌細胞増殖作用
- 癌細胞アポトーシス(自然死)抑制
にあるのが一因とされています。
つまり、インスリンには癌細胞を増やし、死に難くする作用があるのです!
癌のリスクを高める可能性がある糖尿病治療薬
そもそも、インスリン分泌が過剰な状態にある糖尿病。
そこにインスリン分泌促進薬あるいはインスリンそのものを治療薬として用いたらどうなるか?
当然、癌のリスクが高まることが懸念されるわけです。
確かに、血糖コントロールは改善します。
しかし、血糖コントロールは高血糖に伴う二次的な大病を予防することが目的です。
血糖コントロールは良くなったけど、癌のリスクが高まってしまったのでは本末転倒ですよね!
インスリンが一概に悪いということではありません。
あくまで「過剰なインスリン」が悪いのです。
1型糖尿病やインスリン分泌が極端に低下した末期の糖尿病では
インスリンはとても有効な治療法です。
癌を念頭に置いて治療を進めなければならない
糖尿病の一番の死因は癌です。
ですので、糖尿病の治療に際し、癌のリスクを高めるようなことは避けるべきですね。
残念なことに、「癌が糖尿病の一番の死因である」とは本にも書かれていないようなことですから、
そのことを知らない先生も少なくありません。
インスリン分泌促進薬あるいはインスリンそのものの治療薬は、
それらが本当に必要な糖尿病患者もいるのは事実です。
繰り返しますが、それらの治療が一概に悪いわけではありません。
「糖尿病治療薬が正しく選択されているか」、それが大事なんですよ。
食事や運動の重要性
それ以上に大事なのは、
「そもそも糖尿病治療薬を使わない」
ことです。
生活習慣を変えるだけで、見違えるように血糖コントロールが改善する患者がいるのは事実なんです。
その方が健康的じゃないですか!
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、食事と運動は本当に大事なんですよ!
糖尿病どころか、いろんな病気や不調が改善していきます。
しかし、糖尿病を専門にしている先生でさえ、食事や運動をおろそかにしている人が多いことか!
それでは糖尿病患者に正しい知識や方法を伝えられるはずもありません。
私は自身の健康維持のために食事や運動にはかなり気配りしています。
もし糖尿病を含め、肥満やメタボに関するご相談等がありましたら、受診してみてくださいね。
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