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「運動したらお腹が減る」はウソ!?ホルモンから見た運動と食欲・食事摂取量の関係
「運動すると食欲がでるから、運動はダイエットには向かないよねー!」
と一般的には信じられていると思います。
でも、ヘトヘトになるぐらい運動した時は、
「今日はご飯いらない・・」
ってなりますよね?
果たして運動は食欲や食事摂取量にどのような影響を与えるのでしょうか?
今回は大阪市立大学大学院医学研究科運動生体医学 吉川貴仁先生らのサマリーを
かいつまんで紹介します!
こちらから本文全体が見られます(ダウンロードページが開きます)。
https://mukogawa.repo.nii.ac.jp/record/697/files/P01-08.pdf
運動と食欲・食事摂取量について
いろいろな研究をまとめると、運動はエネルギー消費と食欲の増加を引き起こすと思われているが、実際には運動後の食欲やエネルギー摂取量は減少することが多いようです。
運動の強度や期間で食欲は左右されますが、単純な生理的要因だけで決定されるわけではないようです。
例えば、「運動したのだから、お腹がすくはず」という思い込みや、
「運動を頑張ったから、ご褒美に報酬を受け取りたい」という心理がありますよね。
個人の特徴や環境要因、意欲や信念などの心理的要因なども食欲に影響します。
そういった個人的な要素を含めたとしても、全体的には運動後に食欲やエネルギー摂取量が減少するのはすごいですよね!
消化管ホルモンについて
食欲に関連する消化管ホルモンがいろいろ発見されています。
代表的なものにグレリン、PYY、GLP-1などがあります。
消化管ホルモンは、食事の前後に分泌され、脳の視床下部にある摂食・満腹中枢に影響を及ぼします。
グレリン(活性型:アシルグレリン、非活性型:デスアシルグレリン)は食欲を増進するホルモンで、PYY、GLP-1は食欲を抑制するホルモンです。
最近、巷のダイエットで話題のGLP-1は、あなたもご存知かも知れません。
これらの消化管ホルモンは、単に食欲をコントロールしているだけではないのです!
エネルギー代謝や脂質燃焼にも影響を及ぼすのです!
グレリンは食欲増進するホルモンですが、成長ホルモンの分泌を促進し、筋肉量や骨量を増やすことでエネルギー消費を高める作用を持っています。
PYYは、脂肪組織から分泌されるアディポネクチンという善玉ホルモンの分泌を増加させることで、脂質燃焼を促進します。
運動後は食欲やエネルギー摂取量が減少することが多いと書きました。
運動をすると食欲を抑制するPYYやGLP-1の分泌が増加するため、運動は食欲を抑制し、体重減少につながると考えられています。
運動による消化管ホルモンの血中動態の変化と食欲やエネルギーバランスに与える影響について
まず単回運動と長期運動での食欲増進ホルモンであるアシルグレリンの変化です。
空腹時の単回運動では、アシルグレリンの血中濃度が減少し,その後の食欲が低下して、結果として負のエネルギー収支(エネルギー消費)となります。
また、運動が長く行われればアシルグレリン(活性型)/デスアシルグレリン(非活性型)比は減少し、体重減少の方向に傾くが示されています。
次に食欲抑制ホルモンであるPYYとGLP-1です。
予測最大心拍数の60%相当の強度で1時間の運動を食後に行うと、血漿中のPYYとGLP-1濃度はともに増加します。
興味深いのは、他の研究で有酸素運動とレジスタンス運動の違いを比較しているところです。
有酸素運動では、安静状態のままやレジスタンス運動に比べ、血漿中PYY濃度がより増加しています。
有酸素運動の方が食欲が落ちそうな研究結果です。
また肥満の有無による比較した研究もあります。
肥満者も非肥満者もともに、運動により血漿中PYYとGLP-1濃度が増加し、昼食の相対的エネルギー摂取量(摂取量-消費量)が減少しています。
非肥満者の方がPYYやGLP-1の上昇が大きく、痩せやすいようなデータになっています。
面白いのは、相対的エネルギー摂取の変化量は満腹型ホルモンの血中濃度、特にGLP-1濃度の増加量が多くなるにつれて減少している(相対的エネルギー摂取量が減少しているほど、GLP-1濃度が上昇している)点です。
総じて言えば、運動することにより
- 食欲増進ホルモンであるアシルグレリンは減少し、
- 食欲増進ホルモンであるPYYやGLP-1は増加し、
- エネルギー摂取量の減少
が認められるということになります。
私の目線
これらの研究結果を見ると、運動すれば空腹感が少なくダイエットできるということになります。
ですが、実情はどうか?
運動をしていてもあまり体重が変わらない人、減ってはいるが思ったほどの効果がなかった人がいます。
このまとめにも書いてありますが、人間の食欲に対する影響を与える要素がたくさんあります。
それを最も表している言葉が
「甘いものは別腹」
だと思っています。
お腹がいっぱいにも関わらず、それ以上を食べてしまいますね。
その他にも習慣だったり、ストレスだったり、視覚や嗅覚などの刺激だったり、いろんな要素で食欲は動かされます。
ダイエットが一筋縄ではいかないのはそのためですね。
食欲に影響を与える要素を一つずつ丁寧に対応していくことがダイエットには必要不可欠であると考えています。
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