メタボ・糖尿病診療ブログ
糖尿病の死因を知っていますか?本には書かれない意外な事実
糖尿病を知らない人は少ないかと思いますが、それでは「糖尿病の死因は?」と聞かれると返事に困る人は少ないでしょう。
しかも、本にもあまり書かれない死因があるのです。
私が薬剤メーカーからもらう資材にも書かれていないことが圧倒的に多いです。
隠しているのかどうかわかりませんが、知っておいて損のない話です。
ぜひ、この後も読んでみて下さいね。
日本の国民病の一つ
欧米諸国で問題となっている糖尿病患者。
日本人は欧米人ほど太っていないにも関わらず、糖尿病の有病率はあまり変わらないと言われています。
つまり、日本人は欧米人よりも糖尿病を発症しやすいのです。
昨今の日本において、糖尿病有病者と糖尿病予備群は合わせて約2,000万人いると推定されており、まさに国民病と言える疾患です。
仕事が忙しくて、食事も運動もままならない状況のあなたは、決して他人事ではありません。
健康診断を受け、糖尿病の疑いがある人は必ず二次精査を受けるようにしましょう。
ところで、糖尿病になると何が悪いのでしょう?
それを知らなくては何のために治療が必要なのかわかりませんよね。
実のところ、糖尿病はありとあらゆり病気の元になる、まさに万病の元なんです。
そして寿命を縮める病気なんです。
本当に怖い病気なので、放置しないで下さいね!
糖尿病では寿命が縮まりますが、では、どんな病気で命を落とすのでしょう。
糖尿病の死因となった疾患の割合
糖尿病は血糖が上昇する病気ですが、それにより昏睡状態になることがあります。
それが死因になることがありますが、アンケート調査によりますと糖尿病性昏睡で死亡したのは0.6%でした。
大した比率ではありませんね。
ついでに、糖尿病の治療で低血糖になることもあります。
低血糖性昏睡で死亡したのは0.2%で、これも大した比率ではありません。
つまり、血糖の変動で死亡することはあるにせよ、それが主要な死因ではないということです。
糖尿病の三大合併症はとても有名なのであなたも知っているかもしれません。
しめじです。
きのこの話ではなく、神経症(し)、網膜症(眼、め)、腎症(じ)なんですよ。
自覚症状としては、手足のしびれや感覚麻痺、視力障害、失明などの症状が出現します。
腎臓が悪くなれば人工透析という厄介な治療を受けなくてはいけなくなります。
人工透析は週3回、1回4時間ぐらいの治療です。
それだけ長い時間を病院に拘束されるので、あなたの人生台無しです。
もちろん目が見えなくなっても人生台無しです。
では死因になるかといえば、神経症や網膜症は直接的な死因にはなりません。
自殺のきっかけにはなるかもしれませんが・・。
その自殺は0.3%です。
慢性腎不全で死亡したのは3.5%で、有名な三大合併症は大した死因ではありません。
これは意外に感じませんか?
では、その他の有名な合併症を見てみましょう。
そう、えのきですwww
これもきのこの話ではなく、壊疽(えそ、足が腐ること)、脳卒中(の、脳梗塞や脳出血など)、虚血性心疾患(き、心筋梗塞や狭心症など)なんですよ。
糖尿病は動脈硬化を促進します、簡単に言えば血管がボロになるということです。
血管がボロになると血流が悪くなったり、血圧に耐えられなくなったりして、梗塞(詰まること)や出血が起こります。
血管が詰まったり、破れたりすればさすがに命に関わりそうですね。
脳卒中(脳血管障害)で死亡したのは6.6%、虚血性心疾患で死亡したのは4.8%でした。
さすがに割合が高くなっていますが、思ったよりも大した数字ではない気がしませんか?!
これは専門の先生たちや医療資材を開発するメーカーなどの努力の結晶とも言えますが、現在の日本において、糖尿病の死因としてはそれほど多くはないのです。
脳、心臓、腎臓の血管障害による死亡を全部合わせても14.9%なんです。
血管障害ではない心臓の病気を含めても23.6%で、死因の第一位ではないのです。
心・血管障害が糖尿病の死因であり、それをどれだけ予防しようかというのが糖尿病治療の根底にあります。
もちろん間違いではありません、正しい戦略です。
が、どうせなら死因の第一位に対してどれだけ予防をしていくかの方が大事に感じますよね?
糖尿病の一番の死因
では死因の第一位は何でしょうか?
それは悪性新生物(≒癌)なんです。
糖尿病患者のあなたに一番注意してもらわなければならないのは癌なのです。
それを啓蒙していかなければならないのです。
でも、このことを教えてくれる医療機関は少ないのではないでしょうか?
上記しましたが、本にもパンフレットなどにも書いてないのですよ。
啓蒙活動が足りないと私は感じています。
悪性新生物で死亡したのは38.3%で、心・血管障害で死亡した23.6%を大きく上回っています
悪性新生物の中で多い順に並べると、
肺(7.0%)
肝(6.0%)
膵(5.7%)
となっています。
糖尿病に必要な検査
つまり糖尿病と診断されたら、もちろん心臓や腎臓、血管の状態を把握しておくことは重要です。
と同時に肺癌、肝臓癌、膵癌ができてないか検査をする必要があります。
内科であれば心臓や血管の状態をチェックするのに心電図や胸部レントゲン検査はどこでも行っていると思います。
可能であれば動脈硬化(血管年齢)を推定する検査や頸動脈超音波検査による動脈硬化のチェックが受けられるとさらに予防効果が高まりますね。
肺癌は胸部レントゲン検査を受ければ、その時にチェックできますので問題ないです。
問題は肝臓癌と膵臓癌です。
血液検査だけでは早期発見は難しく、死亡を食い止めるのは難しくなります。
少なくとも腹部超音波検査を行っていかないといけません。
できれば腹部CTやMRIまで検査できるといいのですが、さすがにこれらの検査ができるところはかなり限られますので、そこは考え方次第です。
まとめると、糖尿病があれば血液・尿検査は当然、行います。
それに心電図や胸部レントゲン検査はします。
腹部超音波検査までは必須だと思います。
可能であれば動脈硬化(血管年齢)を推定する検査や頸動脈超音波検査もできるといいでしょう。
当クリニックでは糖尿病に関する一通りの検査が可能です。
健康診断で糖尿病の二次検査を受けるように指示されたあなた、ぜひ、当クリニックを受診してくださいね。
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