※代謝異常関連脂肪肝(MASLD)を、以下ではわかりやすくメタボ脂肪肝と呼ぶようにします。正式名称ではありません。これまでどのような脂肪肝患者が進行しやすいか、明らかに予測できるものはありませんでした。しかし、少なくともメタボ脂肪肝の状態では、肝臓病が進行しやすく、メタボリック症候群が悪化しやすいことから、同じ脂肪肝でもメタボ脂肪肝はやや高リスクな集団と考えることができます。
このメタボ脂肪肝は、非アルコール性脂肪性肝疾患と何が違うのか。わかりやすく言えば、代謝異常を合併している脂肪肝に絞り込んでいることです。新分類を当てはめた時、非アルコール性脂肪性肝疾患には低栄養製の脂肪肝や原因不明の脂肪肝も含まれていることになります。
新分類での利点は、メタボ脂肪肝は単純な脂肪肝より病気が進行しやすいので、別グループとして扱われている点にあると思います。残念ながら、メタボ脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝疾患は9割以上合致することから、大きな絞り込みにはなっていないのが現状です。
ただ、メタボ脂肪肝と単純な脂肪肝は全く治療方針が異なりますので、治療面から見れば大きな前進ですね。
メタボリック症候群の治療をすることがメタボ脂肪肝の治療にもなり、またメタボ脂肪肝を治していくことがメタボリック症候群の治療にもなります。